チャッピーのエセ占い館〜恋の行方はAI任せ？〜
第9章「告白と未来」
暴露騒ぎを経て、俺の配信は新たなフェーズに入った。エセ占い師がAIを駆使して相談に答える――逆にそれが売りになったのだ。物好きな新規視聴者も増えたし、昔からの常連も変わらず来てくれている。
何より俺自身が嘘偽りなく皆と向き合えていることが嬉しかった。
リサさんとはあれから頻繁に連絡を取っていた。配信の感想を送り合ったり、他愛ないおしゃべりをメッセージでしたり。時には仕事帰りに待ち合わせて軽く食事をすることもあった。
不思議な縁だと思う。悩み相談をきっかけに、まさかこんな風に仲良くなれるなんて。
そんなある日、リサさんから「相談があります」とメッセージが届いた。珍しく改まった言い方に、俺は少し緊張する。
「直接会って話したい」と続いていた。俺はもちろん快諾した。
約束の日、待ち合わせの公園にリサさんが現れた。秋の終わり、肌寒い夕暮れ。人影もまばらな並木道で、俺たちはベンチに腰掛けた。
リサさんは何か決心したような表情をしていた。俺もつられて姿勢を正す。
「それで…相談って？」
尋ねると、彼女は一呼吸おいて口を開いた。
「実は…彼氏と別れました」
ドキリとした。そういえば彼氏さんの話題は最近出なかったが…。
「えっ…でも仲直りしたって…？」
「あれからしばらくは上手くいってたんです。でも結局、私の中で一度疑ってしまったことが引っかかって…彼にもそれが伝わっていたのかもしれません。お互いのために別れようって話になりました」
そう静かに語る彼女の横顔は、どこか寂しげだった。