チャッピーのエセ占い師〜恋の行方はAI任せ?〜

チャッピーのエセ占い師〜恋の行方はAI任せ?〜
第6.5章
コーヒーが運ばれてきて、一口すすり、ようやく俺も落ち着いてきた。
 それからは自然と会話が弾んだ。リサさんはOLで、俺と同じく大阪出身で上京してきたこと、趣味は映画鑑賞で最近ハマっているドラマの話など、他愛のないことをたくさん話した。
 俺も自分のことを話した。配信を始めたきっかけや、エセ占い館というコンセプトを思いついた経緯など、差し障りのない範囲で打ち明けた。
「最初は冗談半分だったんです。占いって言っても、自分じゃ何もできないし…でもAIを使えば何とかなるかなって」
 そう言うと、リサさんは目を丸くした。
「AI…ですか?」
 しまった、と内心舌打ちする。調子に乗ってつい余計なことを…!

「えっと、その…い、今のは…」
 焦る俺をよそに、リサさんはぱっと表情を明るくした。
「もしかして、ChatGPTとか、そういう最新の技術を使っているんですか?」
 俺が戸惑っていると、彼女は続ける。
「実は私、IT企業で働いているので、AIとか興味あって…。すごいです、配信でそんなことを活用してるなんて!全然気づきませんでした」
 興奮気味に身を乗り出してくるリサさんに、俺は呆気にとられた。

 なんだ、怒られるどころか感心されてる…?
「あ、ああ、一応そういうのを…秘密ですよ?」
 俺は恐る恐る告げた。本当は誰にも言うつもりはなかった秘密。でも彼女なら…いいかもしれない。そう思わせる何かがあった。
「もちろん!誰にも言いません」
 リサさんはにこっと笑った。その笑顔に、俺の胸はドキリとする。秘密を共有したせいだろうか、一気に距離が縮まった気がした。

「でも驚きました。あんなに当たる占いの裏にAIがいたなんて…」
「当たる、かどうかは…偶然だよ。リサさんの相談の時だって、正直自信なかったし」
 俺は正直に吐露した。彼女には本当のことを知ってほしいと思ったからだ。
「そうなんですか?」
「うん…。俺、本当はただのエセ占い師でさ。たまたまAIの答えが合ってて、上手くいったけど。でも皆俺のこと本物みたいに見てて、プレッシャーで…」
 そこまで一気にまくしたてて、はっと我に返る。しまった、何を泣き言言ってるんだ俺は。せっかく応援してくれてる視聴者に失礼じゃないか。

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