《オムレツ・オラクル》final 過去編 

《オムレツ・オラクル》final  過去編 
オムレツ・オラクルの誕生

それから数年、アレクはオリヴィエのもとで料理を学んだ。

オムレツの火加減、ソースの作り方、食材の扱い方——。

しかし、ある日、オリヴィエが倒れた。

「……アレク、お前には特別な力がある。」

病床の彼は、かすれた声で言った。

「お前の作るオムレツには、不思議なものが宿っている。」

そう言われてアレクが見たもの——

オムレツの表面に、タロットの絵柄が浮かび上がっていた。

「……どうして?」

オリヴィエは優しく笑った。

「きっと、お前の魂が占い師であることを忘れられないんだろう。」

アレクは、自分が占いを完全に捨てられていなかったことに気づく。

占いは、未来を決めるものじゃない。
料理は、未来を変えるものだ。

だったら——

「未来を占うオムライス」を作ればいい。

こうして、アレクはタロットと料理を融合させた。
それが「オムレツ・オラクル」の始まりだった。
 
ようこそ、オムレツ・オラクルへ。」

彼はカウンターに座る客に向かって微笑む。

「オムレツを食べて、未来を見てみないか?」

アレクの作るオムレツには、タロットの力が宿る。

だが、占いを信じるかどうかは客次第。
彼は占いを押しつけることはしない。

「未来は、オムレツのようなものさ。」

「火加減を間違えれば焦げるし、混ぜすぎれば失敗する。
でも、自分で作ることを楽しめば、最高に美味しくなる。」

占いに頼るのではなく、自分の力で未来を選んでほしい。

それが、アレクがオムライスを作る理由だった。

そして、今日もまた——
彼はフライパンを振る。

ジュワッ……

バターの香りが広がる。
黄金色の未来が、そっと焼き上がる。

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