「うらなイヌッ!」final;選択のとき 2025/02/13 01:06 Facebookでシェア URLをコピー 報告 「うらなイヌッ!」final;選択のとき夜。ぼくは街を歩く。人間たちは、誰もぼくに気づかない。でも、それでいい。ぼくの仕事は、そっと寄り添うことだ。公園のベンチ。彼女がそこにいる。そして、男がやってきた。前とは違う男だ。彼女は迷わず、彼を受け入れた。そのとき、ぼくは静かに立ち上がる。──もう、ぼくの役目は終わった。人間は、ぼくが導くまでもなく、答えを見つけることができる。それなら、ぼくは次の場所へ行こう。また、誰かが道を迷ったときに。ぼくは、一度だけ振り返る。ベンチに並ぶ二人の姿を目に焼きつけ、ゆっくりと歩き出した。この先、もうぼくの姿を見ることはないかもしれない。でも、それでいい。ぼくは “導く者” 。答えを与えない者。でも、ほんの少しの勇気を与える者。ぼくの旅は続く。どこかで、また誰かを導くために。(完)