「うらなイヌッ!」第7章:導くもの 2025/02/11 10:30 Facebookでシェア URLをコピー 報告 「うらなイヌッ!」第7章:導くもの●うらなイヌ目線のお話●※1話と読み合わせるとオモロいです。ぼくは、犬だ。どこから来たのか、どこへ行くのか──そんなことは分からない。でも、ひとつだけ確かなことがある。ぼくは、“導く者” なのだ。今日も、街を歩く。すると、ひとりの人間が目に入った。──あの人間は、迷っている。それが分かるのは、長い間こうして人間を見てきたからだ。黒い髪の女性。彼女の歩き方は少し不安定だ。心のどこかに「迷い」があると、足取りも揺らぐ。ぼくは静かにその場に座る。彼女がぼくを見つけるのを、ただ待つ。──ほら、気づいた。「……また君なの?」ぼくのことを覚えているようだ。でも、まだぼくが「なぜここにいるのか」には気づいていない。ぼくは彼女をじっと見つめる。すると、ポケットの中の”光るもの”を取り出した。それは……“つながり”の証。ぼくは目を細める。彼女はこの後、その”つながり”に再び触れようとする。でも、それが本当に正しいのかどうか、まだ分かっていない。ならば、ぼくは示すだけだ。どちらへ進むのかは、人間が決める。ぼくは静かに立ち上がる。彼女の足元で、わずかにしっぽを揺らす。それは、“行ってみるといい” という合図だった。