「おまじないベーカリー」第6章:心に灯るもの 2025/02/08 10:16 Share on Facebook Copy URL Report 「おまじないベーカリー」第6章:心に灯るものその日の夜。ミアはパン屋の灯りを落とし、静かに厨房の片付けをしていた。けれど、今日は少しだけ胸がざわついている。(私の願い……)「おまじないベーカリー」を開いた理由は、小さいころからパン作りが好きだったから。誰かの幸せを願いながらパンを焼くことが、ただ楽しくて、それだけで十分だと思っていた。でも。「自分のことも、ちゃんと願えよ」ルイの言葉が、何度も頭の中で反響する。(私が本当に願っていることって……)その時、不意に店のドアが叩かれた。「……?」こんな夜遅くに誰だろう?不思議に思いながらドアを開けると、そこに立っていたのは――ルイだった。「ルイさん?」「……ちょっと、寄り道してきた」そう言いながら、ルイはミアに小さな袋を差し出した。「え?」「これ、おまじないの代わり」ミアが袋を開けると、中には――ふわふわのドーナツ。「……?」「おまじないのパンばっかり焼いてるけど、たまには誰かに作ってもらったもの食べてもいいだろ」ミアは言葉を失った。ルイは少し気恥ずかしそうにしながら、ぽつりと言う。「俺が焼いたわけじゃないけどな。昔から通ってるパン屋のやつだ」ミアはじんわりと胸が熱くなるのを感じた。(こんなの、ずるい)「……ありがとう」ミアが小さくそう言うと、ルイは満足げに頷いた。「ちゃんと食えよ」そして、ルイはそっと手を振って帰っていった。ミアはその背中を見送りながら、小さく笑った。(私の願い……)それが、少しずつ見えてきた気がした。「ずっと、こんなふうに、おまじないを届けられますように」それだけじゃない。(ルイさんが、これからもこのパン屋に来てくれますように)心の中で、そっと願いを込めた。少しずつ、ミア自身の気持ちにも変化が生まれてきたね!次は、ルイがミアにとってどんな存在になっていくのか、物語をさらに進めていこうと思うよ!