小説「水晶玉の向こうに」第6.5章

小説「水晶玉の向こうに」第6.5章

「麻衣が俺に何を伝えたいのか、なんとなく分かってる。でも、叶に好きだって伝えた気持ちは絶対に変わらないんだ。」

叶はその言葉に胸がぎゅっと締め付けられる思いだった。奏太の気持ちは真っ直ぐで揺るがない。それが分かるからこそ、麻衣への返事がどんなものになるのか想像がついてしまう。

「奏太くん、きっと迷わないで返事をしてあげて。麻衣さんは、すごく真剣なんだよ。」

奏太はしばらく黙ったあと、力強くうなずいた。
「分かった。俺、ちゃんと答えるよ。」

叶は微笑みながら見送ったが、内心は嵐のようだった。奏太が麻衣に返事をして、この三角関係がどう変わっていくのか――。

水晶玉を覗き込みたい気持ちを必死に抑えながら、叶は自分自身の答えを探す覚悟を決めていた。

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