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秘密の手のひらフォーチュン第三章

秘密の手のひらフォーチュン第三章
《占いに隠された真実》

リカが「てのひら占い館」で見習いを始めてから数週間が経った。毎日訪れる客たちの手相には、それぞれの人生が刻まれている。それを読み解き、導き、時には励ます――その経験を通じて、リカ自身も少しずつ変わっていった。

しかし、リカはひとつだけ気になることがあった。レイが時折見せる「占いの途中で一瞬表情を曇らせる仕草」だ。なぜ占いがそんなに辛そうに見えるのか、リカには分からなかった。

訪問者の秘密

ある日、占い館に一人の少女が訪れる。名前は千歳凪(ちとせ なぎ)。リカより年下で、無邪気な笑顔が印象的だ。

「こんにちは!ここって手相占いしてるんでしょ?友達がいいって言ってたから来てみた!」

リカは初めて一人で接客を任されることになり、少し緊張しながらも凪の手相を見始めた。本で学んだ知識を思い出しながら手のひらを眺めると、そこには鮮やかな未来の線が刻まれていた。

「凪ちゃん、これからすごく楽しい出来事がたくさん待ってるみたいだよ!」

しかし、そう言いながらリカは違和感を覚えた。凪の手のひらには、鮮やかな未来の線と交差するように、短い線が刻まれていた。それは、リカが学んだどの本にも載っていない「警告の線」だった。

「……ねえ、この線って、何か悪いことが起きる予兆なの?」

凪の無邪気な瞳が、不安そうにリカを見つめる。リカはどう答えていいか分からず、レイに助けを求めた。

レイが代わりに凪の手を見つめると、いつもの冷静な表情が少し揺らいだ。そして静かに言った。

「これは“選択の岐路”を示す線。近い未来に、大きな選択を迫られることを意味しているわ。」

「選択……?」

凪は少し戸惑ったようだったが、レイは微笑んで彼女を安心させるように続けた。

「恐れる必要はないわ。あなたにはその選択を乗り越える力がある。ただ、そのときは自分の心に正直でいて。」

凪は安堵の表情を浮かべて帰っていったが、リカは胸の奥に言い知れぬ不安を感じていた。レイの表情に、一瞬だけ見えた影。それが何を意味するのか、リカには分からなかった。

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