《星空カフェ》final 2025/01/22 10:15 Facebookでシェア URLをコピー 報告 《星空カフェ》final空は澄み渡り、無数の星が夜空に輝いていた。広場には多くの人が集まり、温かな灯りが優しく揺れている。紬は、カフェ特製のホットドリンクを配りながら、空を見上げた。「今日は、ちゃんと星が見えますね。」「ええ、最高の夜ですね。」陽翔が隣で静かに言った。その時だった。夜空に、一筋の光が流れた。流れ星。「あっ!」子どもたちの歓声が響く。人々が一斉に夜空を見上げ、思い思いに願いごとを呟いた。紬も、そっと目を閉じた。――どうか、大切な人が幸せでありますように。目を開けた紬は、隣に立つ陽翔を見た。陽翔もまた、同じように空を見上げていた。「……紬さん。」陽翔は、ゆっくりと紬の方に向き直る。「僕、ここに来て変わったんです。あなたと出会って、もう一度前を向けた。」「陽翔さん…。」「だから、これからもあなたと一緒にいたい。」静かな声だった。けれど、その言葉には揺るぎない想いが込められていた。紬は目を見開き、そして、そっと微笑んだ。「私も…陽翔さんと一緒に、星を見ていたい。」夜空には、いくつもの流れ星が駆け抜けていく。――変わらないものなんて、きっと何ひとつない。だけど、変わっていくことを恐れずに歩いていけば、きっと未来は輝いている。ふたりの心は、星空のように静かに、でも確かに重なっていた。ほしぞらカフェ。ここで交わされたたくさんの言葉と想いが、今日も夜空に溶けていく。「君と見る星空は、きっとこれからも変わらない。」第5章 完