《星空カフェ》final

《星空カフェ》final
空は澄み渡り、無数の星が夜空に輝いていた。
広場には多くの人が集まり、温かな灯りが優しく揺れている。

紬は、カフェ特製のホットドリンクを配りながら、空を見上げた。

「今日は、ちゃんと星が見えますね。」

「ええ、最高の夜ですね。」

陽翔が隣で静かに言った。

その時だった。
夜空に、一筋の光が流れた。

流れ星。

「あっ!」

子どもたちの歓声が響く。
人々が一斉に夜空を見上げ、思い思いに願いごとを呟いた。

紬も、そっと目を閉じた。

――どうか、大切な人が幸せでありますように。

目を開けた紬は、隣に立つ陽翔を見た。
陽翔もまた、同じように空を見上げていた。

「……紬さん。」

陽翔は、ゆっくりと紬の方に向き直る。

「僕、ここに来て変わったんです。
あなたと出会って、もう一度前を向けた。」

「陽翔さん…。」

「だから、これからもあなたと一緒にいたい。」

静かな声だった。けれど、その言葉には揺るぎない想いが込められていた。

紬は目を見開き、そして、そっと微笑んだ。

「私も…陽翔さんと一緒に、星を見ていたい。」

夜空には、いくつもの流れ星が駆け抜けていく。

――変わらないものなんて、きっと何ひとつない。
だけど、変わっていくことを恐れずに歩いていけば、きっと未来は輝いている。

ふたりの心は、星空のように静かに、でも確かに重なっていた。

ほしぞらカフェ。
ここで交わされたたくさんの言葉と想いが、今日も夜空に溶けていく。

「君と見る星空は、きっとこれからも変わらない。」

第5章 完

コメント