【金木犀シャンプーとつばさ氏の心情が織りなす恋の事
花畑に佇むつばさ氏は、風に揺れるチューリップの群れを眺めていました。季節外れの寒さに打たれつつも、彼女の心は優しく温かいもので溢れてかえっていたのです。
都会で働くゆうじ氏のことを考えると、つばさ氏の頬には思わず微笑みが浮かんだのでした。「あの人がいるなら」そうつぶやき、つばさ氏は胸に手を当てました。都会の喧騒とは対照的な、この静かな場所で、つばさ氏はゆうじ氏との夢で逢う日々を思い出していたのです。
街灯に照らされた都心の夜景。建物の谷間を吹き抜ける冷たい風に、ゆうじ氏はコートの襟を立てました。仕事からの帰り道、ゆうじ氏の頭に浮かんだのはつばさ氏の笑顔でした。花畑のつばささんが、俺を待っている――。そんな思いに、ゆうじ氏は寂しげに微笑みました。遠く離れた彼女を、いつか連れ帰りたい。そう願うゆうじ氏の胸に、小さな希望の灯がともったのです。
その日の夜。夢の中で出会ったふたりは、久しぶりの再会を喜びました。
「昨日ね、金木犀の香りがしたの」とつばさ氏が口を開きました。
「新しく出たシャンプーを使ったのよ」と。
それをきいたゆうじ氏は笑顔を見せました。
話題はシャンプーに及び、楽しそうに商品の談義に花が咲いたのでした。
「これからはいつも金木犀の香りで君を想うことにするよ」
そう約束し、ゆうじ氏はつばさ氏の手を握ったのでした。
その手はとても男らしく、かつ温もりのある手で、つばさ氏を包み、つばさ氏は幸せを感じたのでした...
夢から覚めると、つばさ氏の前にはゆうじ氏の姿はありませんでした。夢の中でのやり取りが、遠い思い出のように感じられて、つばさ氏は声を潜めて泣いたのです。いつか現実でも、金木犀の香りを求めて...。
そう信じることで涙を拭い、つばさ氏は一日の始まりを告げる朝日を見上げたのでした。
【金木犀シャンプーとつばさ氏の心情が織りなす恋の事象】