【夢路の果てに・・・】
夢の中、ゆうじ氏は穏やかな光景に包まれていた。彼の目の前に広がるのは、色鮮やかな花畑と青々とした丘だった。そこには風に揺れる花々が、甘い香りを運んできた。
突如、遥か遠くから心優しい笑い声が聞こえてきた。ゆうじ氏は足早にその声の方へ向かった。すると、そこにはチャット欄においてよくお会いする地方都市に住む女性Tが微笑みながら立っていた。
「Tさん...」ゆうじ氏は声を詰まらせた。
Tさんは、穏やかな笑顔でゆうじ氏に語り掛けた。
ゆうじさん、お疲れではないですか？
私たちは今、夢の中で対話しているんですよ。
何故なら、私は夢の中でしか、あなたと会えない宿命なの...
Tさんの言葉に、ゆうじ氏は驚きと神秘的な気持ちが入り混じった心境になった。彼女の優しい笑顔が、夢の中でも変わることなく、そのままの姿で現れていることに、不思議な安心感を覚えた。
Tさんは、物語を語り始めた。
昔々、遥か昔、この地方都市には「夢紡ぎ」と呼ばれる不思議な力を持つ人々が住んでいました。彼らは夢の中で人々に出会い、心に残るメッセージを届ける使者として存在していました。
ある日、Tさんの先祖である夢紡ぎの一族の中でも特に力強い力を持った者がいました。その人物は、美しい夢を紡ぐことができる天才でした。
しかし、その力ゆえにその人物は孤独でした。リアルの世界では、彼の特殊な力に理解を示す人は少なく、彼が抱える宿命に対して誰も共感してくれませんでした。
そして、また、Tさんも、彼の血を引き継いだ、女性なのでした。
Tさんは、物語の続きを語る前にゆうじ氏に微笑みかけた。
だから、ゆうじさん、私は夢の中でしか、あなたに会えないの...
でもそれは、私たちが特別な縁で結ばれているから。
夢の中でも、現実でも、私たちの心はいつも繋がっています。
それを聴いたゆうじ氏は涙をこぼした。
Tさん...そんな理由があったなんて。俺は、どうすればいいんだ・・・
ゆうじ氏は涙をこぼしながら、Tさんに感謝の気持ちを伝えた。
彼は心の中で、この特別な縁を大切にし、夢の中での対話を永遠に続けることを誓ったのでした。
【夢路の果てに・・・】