「国防政治の研究」 東北帝國大学助教授 五十嵐豊作

「国防政治の研究」 東北帝國大学助教授 五十嵐豊作著 日本評論社版

今の日本の日米安保体制における軍事戦略は囲碁で言う所の「一目勝って、一目負ける(要するに(米国には『負けるが勝ち』でいけ)」、これで良いと私は思う。何故か、私は「米国」を気にしている。

 「米国」はまだ、建国して230年あまりの国家であり、文化も交渉も粗暴な所が目立ち「人間の本能」で動くところがある。だから、一度疑念をもたれると、「懐疑主義」に陥り易くその国との戦争に発展する可能性もはらんでいる。まず、日本人はそのことを理解していない。「米国なんて関係ないじゃないか」と申される方もおられるのも承知はしているが、今の日本は米国の作った「国際政治システム」の中にシッカリと組み込まれていることを承知していなくてはならない。

 そして「天皇陛下」の御存在も気になるところである。先ほども申した通り、米国は若い国であるので、一度疑念を持たれると米国は「懐疑主義」に転換していくことがある。これによって、日米開戦となり、日本が今度は本格的に負けてしまうと(大東亜戦争の場合、日本は「負けるが勝ち」という形を取った)、今度は本格的に天皇陛下の首を取りに来かねない。今の国民感情を鑑みると、とても、天皇陛下をお守りすることは難しいし、不可能であると思われる。

 北朝鮮有事の場合、「日本は支那・北朝鮮には一目勝って、米国には一目負ける」これで良い。決して勝利に調子こいて「世界覇権を狙ってやろう」と思ってはならない。なぜか、先ほども申した通り、米国は若い国なので「本能」で動くところがある。であるからして米国は「勝ち」にこだわるし、日本が軍事的に膨張してしまうと「疑念」をもたれて米国の世論が「対日戦争やむなし」という危険もはらんでいる。だから、「米国には『一目負ける(負けるが勝ち)』」という戦略が必要となって来る。北朝鮮という国もまだ若い国であり、米国よりも更に粗暴な国家である。それに朝鮮半島も強力な統治者がいないとまとまらない国家であると歴史から推察される。「一目勝って拉致被害者を奪還し、金正恩を改心させる」という戦略が必要となって来る。

日本国は非常に難しい戦いをしなければならないことになる。「天皇陛下のおわす日本を守る」戦略、これが今の軍事戦略である「一目勝って、一目負ける」という戦略である。

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